CAT / INTERVIEW / RESCUEJul 25, 2015

イラストレーター 浦野周平さんと宗介、雫

梅雨前の夏日のようなある晴れた日に訪れたのは、イラストレーターの浦野周平さんのご自宅。Shu-Thang Grafixという名義で、雑誌・書籍・広告など幅広い分野で活躍している彼は、妻と2人の息子、そして2匹の猫たちと一軒家に住んでいます。この家を建てるきっかけにもなった宗介くんとの出会いから、線路沿いで救出した三毛猫の雫ちゃんのことなど、終始笑い声が響く明るいリビングで、クリエイターらしい豊かな発想から見る、家族と猫たちとの暮らしについて伺いました。


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一匹の猫との出会いが家を建てることに

──宗介くんを飼いはじめたきっかけから教えてください。

以前住んでいた家の近所で、野良猫たちの世話をしているおばさんに遭遇したのがきっかけです。近所にひとりはいますよね “猫おばさん”と呼ばれるような、猫を保護したり世話をする人って。その猫おばさんが一匹の子猫を持って僕らに近寄り、「この子お願いできるかしら!」って。

──いきなり猫を飼って欲しいと言われたんですか!?

そうそう。でも当時はペットを飼えない賃貸マンションに住んでいたので、さすがに飼うのは無理だな、と思いながら隣にいた妻(当時は結婚前)を見たら、物言いたげに僕の顔をじーっと見てまして。

──そのとき浩美さんは既に飼う気になっていたわけですね。

(浩美さん)はい。前から猫を飼いたいなって思っていたんです。子供のころ実家で飼っていたこともあって猫好きで。それで偶然なのか、何かの縁とでも言うんでしょうか、そのおばさんに会ったころ、ちょうど猫の首輪をつくっていたんです。自分好みのデザインをして販売してみようと思って。

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──それで、結局……?

妻の圧力に負けて子猫を引き取ることに。それが宗介です。当然猫を飼う準備も持ち帰る準備もしていなかったのですが、その猫おばさんが全て用意をしてくれました。

──当時はペットを飼えないところに住んでいたんですよね?

だからすぐ引っ越さなきゃねってことで、この家を建てたんです(笑)。あのとき宗介に会っていなかったら、こんなにも早く建てていませんでした。

──ずいぶんと急展開でしたね。その後ご結婚されて、家が完成して……。新居には猫のための通路もつくられたそうですが。

ドアを締めていても猫がトイレに行けるように、通り穴を開けました。猫たちは今もそこを通って、僕の仕事部屋に邪魔しにきます。あと人用のトイレから猫のトイレを掃除できるようなビルトインにしたり、玄関の手前に扉をつけたり。すべて猫のためです。

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線路脇から救出した2匹目の猫、雫

──2匹目の猫、三毛猫の雫ちゃんとはどんな出会いだったのでしょうか。

夫婦で昼飯を食べようと出かけたとき、都電脇の踏切の側で子猫を見つけたんです。ちょうどカラスにいじめられていて、目もあいていない、鳴くこともできない、しかも炎天下にいた。そんなの見たら放っておけるわけないですよね。

──確かに……。雫ちゃんはどんな状態だったんですか?

目、鼻、口の中を怪我していて、お腹には蟲も。保護したあと病院に連れて行き、しばらくは僕の仕事部屋で面倒をみていました。普段はしないんですがエプロンを付けて、日々の締切りに追われながら雫の世話もせっせと(笑)。雫は今2歳くらいで、当時の追った鼻の傷は残っていますが、もうすっかり元気な大人です。

──宗介くんと雫ちゃんはすぐに仲良くなれました?

初対面は僕が雫を抱っこして。宗介は興味深々だったんですが、雫は獣を見るような目で怯えてましたね。

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──宗介くんが友好的で良かったです。

宗介は猫にも人にも優しいんですよ。自分がご飯を食べているときに雫が来ると、雫の後ろに並んで、食べ終わるのを待ってしまう。それにうちの末っ子が泣いていると、すぐ僕らに知らせに来ます。もちろん子供の泣き声はこっちにも聞こえているんだけど、たまたま手が離せないこともあって。知らせたあとはまた子供のところに戻って、じーっと見守っている。

──オス猫なのに母性があるんですね。

そうみたい。でも宗介はすごく淋しがりやで、甘えたがり。家族が出掛けようとするときも、帰ってくるときも鳴いています。宗介に「今日は留守番ね」なんて言うと、本当に切ない顔をするんですよ。

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雫はギャル、宗介は郵便局員さん!?

──雫ちゃんはどんな性格ですか?

人間に例えるとギャル(笑)。ツンデレでこちらが撫でさせてって言うと逃げちゃって、放っておくと後ろに来ているような子です。

──ギャル……ですか。

サマンサタバサとか好きなタイプです、人間だったら(笑)。あと安室ちゃんとかね。嵐の二宮君も好きで「雫ちゃん、お部屋にニノのポスター貼らないの?」って聞くと「パパ買ってきてー」とか言っちゃうかんじです。

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──猫を擬人化してみると楽しいですね。では宗介くんが人間だとしたら?

田舎の郵便局員さんですかね。配達先のおばあちゃんのうちで、お茶しながら世間話しを聞いてあげてたら日が暮れてしまう。郵便局に戻って上司に「ごめんなさい。今日も1通しか配れなかった」って謝るんだけど、宗介くんならしょうがないよねって言ってもらえるような。そんな愛されキャラですね。

──性格が全然違うんですね。実際に2匹の仲はどうですか?

宗介の愛情表現がちょっと下手でケンカになるかな。しつこくしすぎて、そのうち雫に怒られてしまいます。

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宗ちゃんだけは絶対起きて隣で待っていてくれる

──ちなみに浦野のさんにとっては、宗介くんと雫ちゃんはどんな存在ですか?

我が子ですね。宗介が長男で、雫が長女。あと……、徹夜の友!

──仕事大変そうですね。でも徹夜の友がいるなら心強い。

家族が寝ていても宗介だけはいつもそうっと仕事部屋に来てくれるんです。気づくとキーボードの側で丸くなってる。雫も来るんですが、宗介とは違って「邪魔するわよ」って雰囲気で来て、深夜なのに朝ご飯をねだられます。そのときはシレっと宗介も便乗してきて(笑)。

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──そんなことが深夜に繰り広げられていたとは! 猫からイラストのインスピレーションを受けたりすることってあるんでしょうか?

うーん。寝ている雫を見て、俺も寝ようかなって思うことはありますね(笑)。プリンターの上で仰向けになってる雫、すーごく気持ち良さそうなんですよ。根を詰めて仕事をしているのが馬鹿ばかしくなっちゃいます。

──猫のしぐさはかわいいですよね。他にも好きなしぐさはありますか?

寒くなると2匹が猫座りして、くっついていたりするのもかわいい。あと宗介の献身的な姿を見たときは、かわいくもあり、励まされましたね。

──宗介くんの献身的な姿とは?

東北の震災直後のことだったんですが、さすがに僕も不安で落ち着かなかったんです。でも仕事はしなければいけない。それを宗介は察したのか、仕事中の僕を見守るようになって。ときには眠いのを我慢して、うつらうつらしながらも一緒にいてくれたんです。

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──宗介くん、けなげですね。

(浩美さん)私も夜の授乳中、助けられました。家族が爆睡しているなか、2時間おきに起きて授乳するのが本当辛くて。でも宗ちゃんだけは絶対起きて隣で待っていてくれるんです。寝てもいいんだよって言っても。それには相当救われましたね。

──優しい子なんですね。では、特技やここは自慢だぞってところはありますか?

(浩美さん) “ママ”って言うんです。ちゃんと音をくぎってマ・マと。

──すごい! 宗介くんにとって浩美さんだけ特別なんでしょうか。

(浩美さん)マザコンなんですよ(笑)。子供が産まれる前は私にべったりだったし、常に私の側にいて寝るときは腕まくら。今でも子供たちが先に寝ると、ここぞとばかりに寄ってきます。

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長男気分の宗介は末っ子の面倒もみちゃいます

──2匹はどんな1日を過ごしていますか?

宗介は家族と一緒に起きて、朝からみんなと過ごしています。雫は子供たちの活動時間が恐いみたいで、その間はクローゼットに隠れている。時折ご飯を食べに来るけど、そそくさと2階へ戻っていきます。それで子供たちがお風呂に入って寝ると同時に、ようやく「私の時間だわ~」って具合で降りてきて、宗介とのびのび遊ぶ。

──宗介くんと雫ちゃんは、どんな遊びを?

追いかけっことプロレス、あと子供用の車や積み木を落として遊んだり。お互い毛づくろいをしあったりしています。

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──2匹が苦手なものはありますか?

掃除機、モップ……、あと実家の犬。優しい宗介でも活発すぎる子は苦手みたい。でも覇気のない犬は好きなようで、兄の愛犬とは一緒に寝ていました。

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──宗介くんはフィーリングが合えば、犬もOKなんですね。

ぼんやりした生き物が好きなのかな。その中でも雫は活発な方なので、宗介もそれなりにがんばっているのかも。本当は子供のことも好きじゃないんけど、自分の弟だと思っている節があるので、大切にしよう、面倒をみようとしているんでしょうね。

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猫たちを通していろいろな会話をしてきた

──では逆に宗介くんと雫ちゃんは、浦野さんたちのことをどう思っているんですかね。

うーん。2匹とも僕らのことは好き(笑)。雫は自分の時間も大切で、宗介は常にみんなと一緒がいい、でしょうね。それから宗介は自分を、浦野家の一番最初の子供だと認識しているようなので、もしかしたら猫ではなく人間だと思っているかもしれないですね。

──宗介くんは自他共に認める長男というわけですね。最後になりましたが、浦野さんにとって猫との暮らしとは?

宗介や雫がいない暮らしなんて……無理! 今まで宗介がいない日が1日だけあったんです。まだ子猫だったとき、栄養状態が悪くて1歳で歯がだめになってしまい、抜歯のために入院して。あのときはなんだか間が抜けちゃいましたね。夫婦で「僕たちってこんなにつまらない間柄だったっけ?」なんて話しちゃったりして。猫を通していろいろな会話をしてきたんだなと気づかされました。

──宗介くんが来てから生活に大きな変化もあり、浦野さんたちが助けられたこともありましたし。

そうなんです。あんなにおっとりとした優しい郵便局員さんはなかなかいませんよ(笑)。雫が来てからは、猫もそれぞれ性格が違うんだってことがわかったし。猫たちと暮らすことの大切さがいっそう増しています。

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CAT’S PROFILE
宗介(キジトラ/オス/推定2007年生まれ)
雫(三毛/メス/推定2013年生まれ)

OWNER’S PROFILE
SHU-THANG GRAFIX – SHUHEI URANO シュウ・サン グラフィックス・浦野周平さん
(イラストレーター/グラフィックデザイナー)
雑誌、書籍、広告等を中心としたイラストレーションのほか、CDジャケット等のデザインも手がける。著書に『スマートモテリーマン講座』など。
http://www.shu-thang.com/


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浩美さんが運営している猫の首輪専門店『CONOHA』
http://conoha.co.jp/


interview, edit Tomoko Komiyama / photo Jun Takahashi / translation Chiyoko Kimura

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