CAT / INTERVIEW / SHOPApr 18, 2015

猫本専門書店にゃんこ堂と猫店長のリクオ

世界最大の本の街、東京都千代田区神保町。この一帯には、約200店舗もの新古書店が軒を連ねています。その中に今回紹介する、猫の本を集めた本屋「にゃんこ堂」があります。2013年のオープン以来、開店と同時に猫好きを吸い寄せるそこは、姉川書店内の小さな猫コーナー。50年以上本屋を営む店主のひとり娘のユウコさんに、にゃんこ堂について、飼い猫で猫店長の肩書きをもつスコティッシュホールドのリクオちゃんについて、お話しを伺いました。


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書棚3つから始まったにゃんこ堂。

──姉川書店の中になぜ猫本専門コーナー“にゃんこ堂”をつくったのですか?

出版業界が不況でうちのような街の本屋に、新刊がなかなか入らない状況で。だったら新刊に頼らなくても良い、専門書コーナーをつくってみようと思ったのがきっかけです。どうせ眠っている書棚があるなら、利益云々ではなく楽しいことをやってもいいかなと。今ではウチの半分近くがこの猫専門コーナーになっていますが、最初は書棚3つ分からスタートしたんですよ。

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──さまざまなジャンルの本があるなか、なぜ猫の本だったのでしょうか?

本の表紙のインパクトが一番強いのが、猫本だったからなんです。たった3つの書棚で店の印象を変えるには? と考えた結果。専門書棚のテーマは正直なんでも良かったので、当初はヨガ、トラベル、美術館系など色々と調べていて、その選択肢のひとつが「猫」だったんです。

──てっきり猫好きが高じて…、なのかと思っていました。

あははは。それもありますが、実は私、それまで猫本を一冊も読んだことがなかったんです。本は友達、というくらい好きなのに。猫のリクオも飼っていて”リクオ好き”ではあるけど、この子が初めて飼う動物で、猫のことも詳しくなかったんです。

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──ユウコさんは平日はOLをしているんですよね。猫本は誰がどのようにセレクトしたのですか?

私が全て見て読んで、良いと思ったものだけを選びました。インターネットの書評や表紙だけで本を選ぶのは嫌だったので、区の図書館で借りられるものは借りて、ないものは国会図書館へ行ったりして。

それと平行して、猫の専門知識を身につけるために猫スクールにも通ってたんですよ。日本初のキャットシッターサービスを開業した、南里秀子さん主宰の学校「猫の森」へ。ここを卒業するときに『神保町で猫本専門コーナーをつくろうと思っているんです』と南里さんに話したら、全面的に協力してくださることに。実は彼女、猫本マニアだったんです。

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猫好きを吸い寄せる本と雑貨。

──にゃんこ堂の看板やブックカバーは、イラストレーターのくまくら珠美さんが手掛けられたそうですね。

はい。南里さんとのつながりから、くまくらさんを紹介してもらって。本を購入してくださった方に、彼女がデザインしたブックカバーを付けているんですが、父は飾ってもらえるようにと、カバー以外にも1枚差し上げているみたい。カバーにすると折れちゃうからって(笑)。

──現在にゃんこ堂の本は写真集、エッセイ、小説、コミック、絵本、イラスト集、ノンフィクション…と幅広い品揃えです。

本は新刊もありますし、いいと思うものは絶版じゃない限り出版社に直接電話して、倉庫から取り寄せています。あと出版社にもない、著者さんだけが持っている本もにゃんこ堂にはあるんです。

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──店内には猫グッズも豊富ですが、なぜ雑貨も置くことにしたのですか?

きっかけは「THE 昭和」な店内をどうにか活かしたかったから。それで駄菓子屋みたいなゴチャゴチャした感じを猫グッズで出しました。珍しいものだとデザイナーチーム ソトネコJAPAN や、イラストレータ──カミムラアキコさんのグッズなど。

ちなみに猫グッズは、男性のお客様にもけっこう人気で、本屋だから入りやすいし、買いやすいというのがあるみたいですね。男性はにゃんこ堂じゃない反対側の入り口から入ってきて、ぐるーっとまわって猫コーナーへ行って、ササーっと選んでレジ直行!みたいな(笑)。女性に人気なのかと思いきや、ランチトートも男性に大人気。意外でした。

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──ユウコさんは先日、猫本を紹介する本『猫本専門 神保町にゃんこ堂のニャンダフルな猫の本100選』を発刊されましたが、これにはどのような経緯があったのですか?

宝島社さんがにゃんこ堂を見つけてくださって、お声かけくださったんです。私も出版するからには、猫好き、本好きな方がパラパラっとめくって、眺めるだけでも楽しめるものにしたいなと思いまして。だからオールカラーなんです。

──本の紹介をしている本、と思って何気なく読んでいたのですが、何度かグッとくる場面がありました。

狙いどおり(笑)。いやいや、でも埋もれているいい本って本当たくさんあるんですよ。それを知ってもらいたくて、本の中身とエピソードも載せたんです。例えば一見難しそうな「猫の建築家(光文社刊)森博嗣/著」も著書で紹介しているんですが、これはまず佐久間真人さんのイラストが素晴らしい。文章は哲学的で敷居が高そうなんですが、一度読むとはまってしまう名作なんです。にゃんこ堂では、本の中身が全部見れるようにしているので、ぜひ手に取って見ていただきたいですね。

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フクロウ顔の猫店長リクオ。

──にゃんこ堂の著書やFacebookに登場する猫店長リクオちゃんについて教えてください。リクオちゃんはにゃんこ堂で会えるのですか?

すみません。リクオは私のうちにいる飼い猫で、にゃんこ堂の猫店長という肩書きですが、万年不在の名ばかり店長なんです(笑)。名前は漢字で陸男。渋いですよね。

──リクオちゃんを飼い始めたきっかけは何だったのですか?

飼い始めたのは、私の「20代のうちにやりたいことリスト」に一緒に暮らすパートナーをつくる、というのがあったから。でも当初、猫じゃなくてフクロウを飼うつもりだったんです。フクロウも大好きで…。実際フクロウの飼い方を色々調べてたら、餌がミミズとかなんですね。冷蔵庫に冷凍のそれを入れておくのか……、むむ、むりむり!って(笑)。だからフクロウに似た猫を探すことにしたんです。

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──えっと、フクロウを断念して、フクロウに似た猫を??

はい。当時は里親募集というものも知らなくて、インターネットで猫のブリーダーを探しました。そしたら、フクロウ顔のスコティッシュホールドを発見できて(笑)。それですぐに「子猫が産まれた教えてください!」とブリーダーさんにお願いしたんです。で、いざ子猫が産まれて、ブリーダーさんから連絡がきたんですが…あまりにも高くてまたもや断念。

さらに2ヶ月後に、また同じところから連絡が来たんですが、今度は「ショーに出すための雄猫が1匹いるんだけど、出すのをやめたので譲りましょうか」と! 私がどうしても欲しいと言っていたのを覚えていて、大事にしてくれる人に譲りたいからって。それがリクオ。約11年前ですね。

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──リクオちゃんはどんな性格ですか?

基本おっとり、穏やか。子猫のときから戯れない子で絶妙な距離感を保っていますね。甘えるというよりは、ペタッとくっついて来たり、しっぽが私のどっかに触れてる位。お互いがちょっかいを出さない、私にぴったりのパートナーです。

──リクオちゃんが好きな遊びなどはありますか?

特にないんですよね。ひとつ挙げるとしたら、リクオは臆病だけど物怖じしないのが取り柄かな。うちに来客があっても逃げも隠れもせず、一緒になって玄関にお出迎えします。子猫のときからそんな感じなんですよ。

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リクオが来て日常が心地良くなった。

──今年リクオちゃんは12歳。健康に気をつけていることはありますか?

ご飯に気をつけて、あと漢方を飲ませています。リクオはもともと胃腸が弱く、7歳を過ぎた頃から肝臓が弱って毎年入院していて。入院のたびに24時間点滴をしていたので、血管がダメになってしまったら、長生きできないかもと言われたんです。そこでまず薬を動物用の漢方に切り替え、ご飯もキャットフードだけだったのを、食用生肉をプラスしました。切り替えてから丸2年経ちますが、体調も良くなり1度も入院せず、元気に過ごしています。

──リクオちゃんとの暮らしはいかがですか?

以前の私はプライベートの時間を疎かに、自分のことを後回しにしていたんですが、リクオと暮らすようになってから、自分の時間を丁寧に過ごせるようになりましたね。私が猫アレルギーなので、毎朝掃除もするようになったし、物も猛烈に捨てたし。日常のオフの時間を心地よく過ごせるようになったのは、リクオのおかげです。

リクオが居て、にゃんこ堂もおかげさまで人気で、最近は猫本まで出すことができて。私たちのまわりにいるたくさんの招き猫たちが、福を呼んできてくれているのかななんて思っています。


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にゃんこ堂の猫店長 リクオ(陸男)
2003年10月生まれ/スコティッシュホールド


にゃんこ堂
場所:東京都千代田区神保町神田神保町2-2 姉川書店内
電話:03-3263-5755
営業時間:10:00~21:00 (月-金) , 12:00~18:00 (土) ※日曜定休
Facebook:https://www.facebook.com/nekobon.nyankodo


猫本専門 神保町にゃんこ堂のニャンダフルな猫の本100選 定価:¥1,512


interview, edit Tomoko Komiyama / photo Jun Takahashi / translation Chiyoko Kimura

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